【体験報告】
バッティングセンターで審判の練習
京都の北白川バッティングセンターという所で、審判の練習をしてきた。日曜日だったので、それなりに混んでいる。僕の前に何人か客が並んでいた。けれど、左バッター用の打席があいている。右バッターの人が多いようだが、幸い審判には右も左も関係ない。
おもむろにカバンから防具を取り出し、肩からかけ、顔面にはプロテクタをつけた。そして準備体操よろしく、腕を左右に大きく振る。近くに座っていた高校生くらいの男の子と目があったが、すぐにむこうが目をそらした。
堂々と打席に入る。百円玉を入れると、ピッチングマシンのランプが点滅して、時速90キロでボールが飛んできた。それを、胸の防具で正面から受ける。ズゴッ。鈍い痛みが胸に走る。それをこらえて、
「ストラァイク!」
「ストラァイク!」
「ボォル!」
インジケータまで用意してあったので、右手で大きく振りかざして、カチ、カチ。
隣の打席には親子連れ。お父さんが、小学校低学年くらいの男の子に練習させていた。男の子はさっきから僕の方をじっと見ている。やがて我慢出来なくなったかのように、
「何の練習?」
と父に尋ねた。そしたらお父さんは仁王立ちのまま平然と、
「審判の練習や」
野太い声で答えていた。
たしかにそれ以外、答えようがない気もするが・・・。お父さんの威厳ある態度に、脱帽であった。それとも実は、バッティングセンターで練習している審判って、結構多いのだろうか? そう思ってしまうほど、お父さんの表情は平然としすぎていた。
さて、審判練習には思わぬメリットもあった。ボールが胸に当たった瞬間というのは、痛いと同時に、不思議な気持ち良さがあるのだ。喩えていうなら、胸のあたりに溜まっていたモヤモヤが叩き出されるような。あるいは気管支炎で苦しんでいる時に、ようやく咳が出た時のような。自分は何かの肺病ではないかしらんと思うほどであった。それともこれは、肉体的というより精神的なものなのだろうか。直球勝負でぶつかって来る相手に感じる、小気味良さといったところか。
この快感がクセになりそうであって、初めは90キロでピッチングさせていたが、続いて100キロも試した。胸で感じる衝撃は、さらに強くなった。肺の中で、太鼓の音が反響しているくらいの気分。当たり所が悪かったら、そのまま倒れてしまいそうである。気持ち良さも、幾分か増したような気がする。
次は120キロ!と思ったが、さすがに怖くなってやめた。
℃ Taro Tezuka (2002.5.21)

日本一の審判めざして、今日も特訓するのだ
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