(2004年8月14日以降)

2010年02月06日


カラスのクラス

カラスには二つの階級があるらしい。

なわばりと家族を持ち、繁殖することのできる個体と、群で暮らして繁殖には加わらない個体。家持ちカラスと家無しカラスと呼んでもいいだろう。

山でも都会でも状況は同じで、どの街角がどのカラスのなわばりであるかがはっきり決まっている。

およそカラスのいる所、500メートル四方程度の大きさを持ったなわばりに分割されているのである。

若い間は皆、群で暮らしているのだが、三年ほどで成熟すると、力と自信のある家無しカラスはなわばりを取るために動く。

好運にも持ち主のいない区画があればそれを使わせてもらうが、もし空いた場所がなければ力の弱いカラスから奪う。

カラスはつがいを作る生き物なので、力の強い夫婦が弱い夫婦を追い出すのである。

追い出された夫婦は家無しカラスの群に逆戻り。巣を持てなくなるので、群で暮らしている間は繁殖することはできない。

自分のなわばりで自由に餌を集めることができないので、誰かのなわばりで隙を見て餌を漁ることになる。

大勢のカラスが残飯に群がっていたりしたら、それは誰かのなわばりにお邪魔している家無しカラスの群である。

巣を持たない彼らは夜は集団で眠る。京都であれば花見小路四条上ルの西側の電線にたくさんのカラスが夜留まっているのが分かるが、彼らが家無しカラスである。冬の間は群の規模が大きくなり、百羽くらいいるのではないかと思われる。

それでは家無しカラスは寒空の下で凍える不幸な生き物かというと、必ずしもそうではなさそうである。

カラスほど知的な生き物であれば、たとえ家無しであってもそれなりに人生の楽しみを見つけているのではなかろうか。

この話は高槻でカラスの研究を二十年以上続けておられる中村純夫先生からお聞きしたのだが、家持ちカラスはどちらかというと行動が保守的で、毎日なわばりの見回りを欠かさず、子供のための餌集めに余念がない。

だから自分のなわばりの中の物事はものすごく良く知っている。たとえば誰かのテーブルに置かれた食器がいつもと違った角度を向いていたら、それに気づくのだそうである。

まさに仕事のことしか頭に無い勤勉カラス。

一方の家無しカラスは気ままにふらふら、好奇心の趣くまま好きな所に行ける自由な生活を送っている。

カラスは雪の斜面を滑り降りたり線路に石を置いたり、多彩な遊びを行うことで知られているが、これは群で暮らしている若い個体に多い行動だという。

南の島には道具を使って虫を捕るという猿も顔負けの行動をするカラスがいることが知られているが、そういった行動が生まれる背景には多彩な試行を楽しむ遊び心があるのではないか、というのが中村先生の説である。

家無しカラスは繁殖はしないが、技術や文化を生み出すのである。

さらに面白いことに、冬になって繁殖が行われない時期になると、家持ちカラスがわざわざ家無しカラスたちのねぐらまでやってきて、泊まっていくことがあるそうだ。

そんなカラスたちに関する授業を今度、京都カラスマ大学で行っていただくことになった。

京都カラス大学 ~ 家持ちカラスと家無しカラス、知的な鳥の多様なライフスタイル

ご興味をお持ちの方、お越しいただけましたら。

Posted by taro at 16:41 | コメント (0)

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2010年01月26日


宇宙は近い

年末年始、宇宙に関するイベントがいろいろありました。

Researcher Zukanでもインタビューさせていただいた磯部先生による京都カラスマ大学授業「太陽観測と宇宙天気予報」

磯部先生が取りまとめられている「人類はなぜ宇宙へ行くのかシンポジウム」サイエンスニュースネットワークで取材させていただきました。

人間関係を使い回し過ぎですが……。

しかしいろいろと宇宙開発の話を聞いたことで、本当に宇宙は近いなぁと思うようになりました。

宇宙開発研究者の皆さんの血のにじむような努力の結果だとは思いますが、驚くほどの速さで人類の宇宙進出が実現化してきている。

今、宇宙に行けるロケットを個人で(もちろん大金持ちの起業家とかですが)買える時代なのです。

さらに、大気中の酸素を燃焼に使うハイブリッド型のロケットや宇宙エレベーターなど、従来とはまったく違った形で宇宙に行く方法が模索されている。

いや、「宇宙に行って何するの」とか言ってる場合じゃないです。

知の地平を押し広げていくためには、人口がもっと増えなくてはならない。そのためには地球上ではスペースも資源も足りない。

それに、宇宙に行くことは楽しそうです。夢があります。とりあえず満天の星の中で宇宙遊泳し、漆黒の闇に浮かぶ水滴のような地球を見てみたい。

さて、宇宙と言えば明後日、火星が久々に最接近のようです。

だいたい太陽の反対側、つまり深夜0時に真南の方向に見えます。今は双子座の左下あたりに見えていて、かなり明るいです。

広大な宇宙空間を地球と並んで進んでいるかと思うと、感慨深いものがあります。

赤く輝くあの星に人類が住むようになるのも、そう遠くない未来のことなのでしょうね。

Posted by taro at 21:35 | コメント (2)

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2010年01月20日


韓国出張

学会で韓国出張。

冬のソウルはとてつもなく寒かった。

例のごとく若干の外国人研究者と知り合い、多くの日本人研究者と異国の地で親睦を深め合ってきた。

食事はひたすら焼き肉だった。牛肉、豚肉、鴨肉などいろいろある。

「肉は日本より断然うまい」とある先生が言っておられた。肉好きには韓国はとても魅力的な場所なのかもしれない。しかし食堂で料理を頼むと大量の副菜が勝手についてくるのは嬉しい。

宿の近くにポスコのオフィスビルがあり、その正面に聳えるオブジェが結構いけていた。

ビル街の一角に巨大な鉄の塊。Frank StellaによるFlowering Structureという作品らしい。

ポスコは韓国最大の製鉄会社。業務内容とマッチしたオブジェになっている気がする。

Posted by taro at 00:17 | コメント (0)

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2010年01月13日


ユリカモメを数える会

週末、ユリカモメ保護基金の活動に参加。

ユリカモメは東京都の鳥であり、お台場を走る新交通システムの名前にもなっているが、ここ関西でも冬の風物詩として親しまれている。

ロシアのカムチャッカ半島で夏を過ごし、毎年3000kmを旅して琵琶湖までやってくる。

ねぐらは大津や坂本の水辺にあるらしいが、冬期の琵琶湖では水温が低く、魚が湖底近くまで潜ってしまうため、餌を求めて毎朝鴨川まで飛んでくる。鴨川は浅いので、冬でも魚を捕まえられるのである。

ユリカモメという名前は一説によると「入り江カモメ」が訛ったもので、入り江のような浅瀬で魚を採ることを好む。鴨川もまたちょうどよい水辺なのだ。

京都まで飛来する数、およそ1000羽。しかし最近ではじわじわと減少傾向にあるらしく、正確な数を調査して増減の理由を明らかにし、ユリカモメ舞う鴨川の冬空を守ろうという活動がユリカモメ保護基金である。

興味深いのはこの活動の母体が北大路商店街の振興組合という点である。

取りまとめ役である川村さんによれば、昔は商店街の予算でお祭りのようなイベントを行っていたが、いまいちぴんと来ない。

そんな時、せっかく鴨川から近い商店街なのだから、鴨川の冬の風物詩のひとつであるユリカモメを守る会を作ってはどうかという案が出て、それは面白いと始められたのだそうだ。

この活動は多くのメディアから注目されていて、毎年一回行われるユリカモメの数量調査は必ずといっていいほどマスコミから取材を受けるのだそうだ。僕が今回参加したのはこの数量調査である。

大勢で手分けして鴨川の一定の区間を担当し、水辺に集まっているユリカモメを数え、幼鳥の割合なども記録する。

生き物が増えたり減ったりするのにはちゃんとした理由があることが多く、たとえば最近、鴨川の浚渫が行われておらず、中洲が広がって川の流れが速くなっていることもユリカモメの飛来数が減っていることと関係するかもしれない、といった考え方もあるらしい。

保護基金の活動で学術顧問をされている鳥類研究者の須川先生のお話によると、ユリカモメは雑食性ということもあり、行動の種類が実に多彩で、見ていて飽きないものらしい。

今の時期なら午後三時頃、荒神橋の近くで待っていると、ユリカモメが次々に舞い上がり、旋回しながら高度を上げて、集団で琵琶湖まで帰っていく巨大な「鳥柱」が見られる。

これは僕も何度か見たが、なかなか見事なものである。

鴨川は百万都市と自然を繋ぐ窓口のようになっていて、本当に貴重な場所だと思う。

ユリカモメ保護基金

Posted by taro at 23:16 | コメント (0)

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