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2010年02月06日

カラスのクラス

カラスには二つの階級があるらしい。

なわばりと家族を持ち、繁殖することのできる個体と、群で暮らして繁殖には加わらない個体。家持ちカラスと家無しカラスと呼んでもいいだろう。

山でも都会でも状況は同じで、どの街角がどのカラスのなわばりであるかがはっきり決まっている。

およそカラスのいる所、500メートル四方程度の大きさを持ったなわばりに分割されているのである。

若い間は皆、群で暮らしているのだが、三年ほどで成熟すると、力と自信のある家無しカラスはなわばりを取るために動く。

好運にも持ち主のいない区画があればそれを使わせてもらうが、もし空いた場所がなければ力の弱いカラスから奪う。

カラスはつがいを作る生き物なので、力の強い夫婦が弱い夫婦を追い出すのである。

追い出された夫婦は家無しカラスの群に逆戻り。巣を持てなくなるので、群で暮らしている間は繁殖することはできない。

自分のなわばりで自由に餌を集めることができないので、誰かのなわばりで隙を見て餌を漁ることになる。

大勢のカラスが残飯に群がっていたりしたら、それは誰かのなわばりにお邪魔している家無しカラスの群である。

巣を持たない彼らは夜は集団で眠る。京都であれば花見小路四条上ルの西側の電線にたくさんのカラスが夜留まっているのが分かるが、彼らが家無しカラスである。冬の間は群の規模が大きくなり、百羽くらいいるのではないかと思われる。

それでは家無しカラスは寒空の下で凍える不幸な生き物かというと、必ずしもそうではなさそうである。

カラスほど知的な生き物であれば、たとえ家無しであってもそれなりに人生の楽しみを見つけているのではなかろうか。

この話は高槻でカラスの研究を二十年以上続けておられる中村純夫先生からお聞きしたのだが、家持ちカラスはどちらかというと行動が保守的で、毎日なわばりの見回りを欠かさず、子供のための餌集めに余念がない。

だから自分のなわばりの中の物事はものすごく良く知っている。たとえば誰かのテーブルに置かれた食器がいつもと違った角度を向いていたら、それに気づくのだそうである。

まさに仕事のことしか頭に無い勤勉カラス。

一方の家無しカラスは気ままにふらふら、好奇心の趣くまま好きな所に行ける自由な生活を送っている。

カラスは雪の斜面を滑り降りたり線路に石を置いたり、多彩な遊びを行うことで知られているが、これは群で暮らしている若い個体に多い行動だという。

南の島には道具を使って虫を捕るという猿も顔負けの行動をするカラスがいることが知られているが、そういった行動が生まれる背景には多彩な試行を楽しむ遊び心があるのではないか、というのが中村先生の説である。

家無しカラスは繁殖はしないが、技術や文化を生み出すのである。

さらに面白いことに、冬になって繁殖が行われない時期になると、家持ちカラスがわざわざ家無しカラスたちのねぐらまでやってきて、泊まっていくことがあるそうだ。

そんなカラスたちに関する授業を今度、京都カラスマ大学で行っていただくことになった。

京都カラス大学 ~ 家持ちカラスと家無しカラス、知的な鳥の多様なライフスタイル

ご興味をお持ちの方、お越しいただけましたら。

Posted by taro at 2010年02月06日 16:41

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