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2009年11月08日

脳磁場計測

ナノメディシン融合教育ユニットの実習で脳磁場の計測をしている。

脳磁場計測、略してMEGは脳内の神経活動を外部から計測する手法のひとつであり、脳活動の細かな時間変化を脳波(EEG)よりも高い精度で読み取れることに特徴がある。

個々の神経細胞ではなく、その大規模な集団の活動を記録している点は脳波も脳磁場も同じである。では何が違うかというと、脳波は神経細胞の発火に伴う電位の変化が頭皮まで伝わってきたものを見ているが、脳磁場計測では発火で流れた電流によって生じる磁場を見ている。

脳波の場合、頭蓋骨や頭皮の電気抵抗の分布が表面での電位に影響を与えるため、測定値から脳内の状態を推定するのは容易ではない。しかし磁場は頭蓋骨や頭皮をほぼ完全に透過するので、高い精度で脳内の活動を捉えることができる。つまり我々の思考は磁場という形で外に漏れまくっているのだ。

そのため脳磁場計測は脳の非侵襲的計測の一手段として有望らしいのだが、装置が巨大なため、導入している施設はまだ少ない。

微弱な磁場を捉えるのに超伝導を利用した素子を使うため、液体ヘリウムで満たされた巨大な筒の下に頭をはめ込んで計測を行う。これが外界の磁場を遮断するための個室に入っていて、さながらガンダムのコクピットのようである。実際の所、脳の信号を計算機に読み取らせているわけだから、ガンダムの操縦とはそれほど遠くないかもしれない。

しかし読み取れる情報は今のところかなり限定されているようである。少なくとも脳の高次機能に関しては実験をうまく工夫しないと読み取れない。

p300という課題では画面上に次々に現れるアルファベットのうち、あるひとつの文字に意識を向け、その出現回数を数えるようにしておく。するとそれが何であるかがMEGの計測データから読み取れるのだ。

装置が出力した生のデータをPCAやフィルタを組み合わせたMATLABのプログラムで解析してみると、自分が意識していた文字の時だけ特徴的な波形が現れることが分かる。文字を変えて実験しても同じ特徴が得られる。つまり意識していた文字が分かってしまう。

やはり僕の思考は電気的な活動なのである。文字を意識することはニューロンの集団的な発火によって実現されているのだ。無数の神経細胞による繊細な計算が僕なのである。

本で読んで知っていることでも、実際にやってみると新しい感動がある。

Posted by taro at 2009年11月08日 22:45

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