|
« 学問はすばらしい。 | トップページ | 京都での機動性が復活 » 2008年10月18日生命情報の不思議(塩基対の偏り)テニスコートが校舎からやたら近いこともあって、教員のテニスサークルを作って時間の空いた時にテニスなどしている。 これが最近、人間関係を広げてくれたりして、楽しい。 生命情報学科のK先生は普段同じオフィスにいるにも関わらず、生命情報学科が今年の四月に情報理工学部から生命科学部に移動してしまったため、授業を通した繋がりもなく、教員の懇親会でも会うことがないので、あまりお話したことがなかった。 ところがテニスにお誘いしたら快く来てくださって、それをきっかけにしていろいろお話を聞けたのだが、大変面白かった。 K先生は塩基配列の解析を研究テーマにしている。 生物の遺伝情報はA,T,G,Cという四種の核酸によって符号化されているわけだが、実はこれらの出現頻度には偏りがある。 GCペアの数は平均して全体の40%前後であり、ATペアより少ない。 ところがこの偏り、哺乳類・鳥類ではその他の脊椎動物と大きく違うのだそうである。 全体の平均はそれほど変わらないのだが、1万塩基対程度の長さの断片を多数調べて含有率のヒストグラムを作ると、哺乳類・鳥類ではGC含有率が60%という領域まで裾が広がるのだそうである。いわゆるロングテール。GCの割合が高い断片が多数存在する。 興味深いのは、系統樹上で哺乳類と鳥類の間に位置する爬虫類ではこのような現象が見られないこと。 つまりこの現象は哺乳類と鳥類で偶然共通に発生したか、あるいは爬虫類で失われてしまったと考えられるわけである。 同じ脊椎動物でもこんな低いレベルで違いがあるということに驚く。K先生はこの偏りの原因を明らかにすることをひとつの目標にされている。 GCは水素結合が三つなので、ATより安定と言われている。 恒温動物では代謝が活発で活性酸素が多いことと関係しているのだろうか、とちょっと思った。 ちなみに熱水中に住む細菌でもGCペアが多いそうである。 だがそんな理由で塩基対の頻度分布が変わってしまうとしたら、符号化されていた情報はどうなってしまうのか。 遺伝子領域とイントロン領域の両方でGCの含有率に偏りが生じているとK先生は仰るのだが……。 恒温性の獲得に伴い、塩基配列として安定な酵素を多く使うようになった、ということだろうか。 Posted by taro at 2008年10月18日 14:16 |
