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« 都会アウトドア | トップページ | 鹿狩りしてきた。 » 2007年09月19日情報理論と競馬散髪屋で髪を切ってもらっている時、英語で書かれた情報理論の本を読んでいると、店の兄ちゃんである光さんが肩越しに覗き込んで言った。 「難しそうなの、読んでんな」 大の競馬ファンである光さん、それを聞いて急に真剣な顔になる。 「ほら、Horse Race(競馬)って書いてある」 情報理論基礎(Elements of Information Theory)という真面目な本なのだが、なぜか競馬に情報理論を使う話がたくさん書かれている。 競馬は単に例であって、ギャンブルであれば何でもいいのだが、たとえばこんな感じ。 馬の通し番号をiとおく。 馬iが勝った時の資金増加率は ここでSの期待値ではなくSのlogの期待値を取って、 最適な資金配分bを求めるため、W(b)を最大化することを考える。 W(b) H(p)はエントロピー。D(p||b)はダイバージェンス(KL情報量)。最後の行で不等式を得るのにダイバージェンスの非負性を使っている。D(p||b)が0になるのは b=p の時である。 結局、Wの最大値は Σpilog(oi) - H(p) であり、b=p によって実現される。これはつまり、各馬の勝つ確率に合わせて資金を配分するのが良いということ。 たとえば弱小の馬がいて、1/100 の確率でしか勝てないだろうと思ったとしても、その馬に全投資額の 1/100 を賭けるのが良い。 この戦略において馬券購入者の儲けがどこから出てくるかというと、馬の勝つ確率と配当の間のズレである。 もし配当が完全に各馬の勝つ確率を反映していて、oi = 1/pi であったとしたら、 実際の競馬では配当が市場によって決まるため、それよりも正しく確率分布を予測できた人は儲けることができる。 たとえば全馬券購入者の資金がriという形で各馬に配分されていて、競馬の主催者の取り分を考えない場合、配当は oi = 1/ri になるが、W(b)をriを使って書き直してみると、 W(b) 二種のダイバージェンスの差が成長率になる。ダイバージェンスは二つの確率分布の間の“距離のようなもの”と言われるが(分布の交換に関して対称でないので正確には距離ではない)、pとrが遠く、pとbが近い時に馬券購入者の儲けは大きい。 情報理論は確率論の一部門のような所があるので、それをギャンブルと結びつけようと考えるのは当然の発想かも知れないが、このように定式化されてみると面白い。 本は Thomas M. Cover and Joy A. Thomas, Elements of Information Theory, Second Edition, Wiley-Interscience, 2006。邦訳はまだだと思う。 競馬と情報理論を関連づける話の元ネタは以下の論文のようである。 Posted by taro at 2007年09月19日 00:04 |
コメント
株価と企業の収益力を比較して、投資価値を判断するPERと考え方が似てる気がします。
Posted by: 356 at 2007年09月19日 02:00
なるほど。実はこの本、情報理論を株式投資に応用する話も書いてあるのですよ。
馬券への資金配分のベクトルがそのままポートフォリオになるわけです。
Posted by: taro at 2007年09月19日 02:12
