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2006年07月09日

ロバート・オーウェンの起業家サークル

週末、西大路のショッピングセンターのハンバーガー店でノートPCを広げて論文を書いていたら、懐かしい人と出会った。

肩に掛けた栗色の布に赤ちゃんを抱えて入ってきたのは、Mさん。旧姓Fさん。
会うのは三年ぶりくらいか。

「今、やっと寝ついたんで。お茶しようかと思って」

眠っている赤ちゃんを僕に見せながら、
まるで言葉をひとつずつ選んでいるかのようにおっとりと喋る彼女、
今は大学で駆け出しの研究者をしているという。

昔、フィールドワーク研究会というサークルを見に行った時に知り合ったのだが、父親は有名な文化人類学の先生。
旦那も工学部で研究者をしているとかで、研究者一族である。

彼女の専門は、経済思想史。

「いつの時代を研究しているんですか?」
「19世紀のイギリス。ロバート・オーウェンとか……」
「オーウェン?」
「最初に幼稚園を言い出した人で……」
「あ。もしかして、『空想的社会主義者』でしたっけ?」
「そう言われているんですけど……」

オーウェン研究者的に言わせると、別に「空想的」ではないらしい。

偶然だが僕も最近、別の場所でオーウェンの名前を見かけたのを思い出した。

「この前、ロンドンからエディンバラに電車で行ったんですけど。途中に面白い場所が無いか調べていたら、オーウェンが作った工場ってのが載ってましたよ。名前、忘れたけど」
「ニューラナーク」
「そうそう! 行ってみたかったけど、時間が無かったので行かなかったんです」
「オーウェンはニューラナークに行く前にマンチェスターで修行しているんですけど、その頃がとても楽しそうなの。サークルを作ったりとか」
「社会主義者のサークル?」
「いえ、起業家が集まったりとか。ほら、今と似た感じで。大学以外の勉強会とかで」

日本でも最近、起業家のサークルが活発に活動しているが、イギリスには百年前からあったようである。

地球の歩き方イギリス版に書かれていた説明によれば、オーウェンは実業家として成功したのち、自らの財産を注ぎ込んで労働者の生活環境改善に尽くした人である。
労働者の地位向上のためには教育が重要であると考え、工場に併設の幼稚園を設立したり、衛生的な住宅を提供したりした。
だが、労使協調的な穏健路線がマルクスなど共産主義者によって「空想的社会主義」と批判され、日本でもそのように教えられることが多い。

「オーウェンは何歳くらいだったんですか、そのサークル作った時」
「20代前半くらい」
「またくわしく聞かせてくださいよ」
「まだ論文は書けてないんですけど、また出来たら連絡しますね」

現代の起業家サークルと比較してみるのはなかなか面白いかも知れない。

Posted by taro at 2006年07月09日 22:13

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