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2005年12月14日

正装しなくてはならない国際会議

バンコクで行われているデジタルライブラリの国際会議に参加している。

本会議の前日、チュートリアルの講演が行われた後で、司会の女性から注意事項が伝えられた。

「明日は午前九時からオープニングセレモニーが行われますが、八時半から来るようにしてください。
男性はコートにネクタイ着用。女性はタイの伝統的な正装でも構いません……」

突然言われて、僕は慌てた。

国際会議といったら、服装はインフォーマルなのが普通ではないか。
今までの経験から言うと、スーツを着てくる人の方が珍しい。
僕も当然、カジュアルな服装しか持ってきていない。

どうやらタイは予想以上に礼儀正しい国のようだ。
仕方なく、近所のデパートまで出かけてシャツを買った。

その晩、同じ会議に参加しているタイ人留学生のNミットさんに愚痴ってみた。

「タイは礼儀正しい国なんだね。フォーマルな格好をしてこなきゃダメって言われた」

「いや、それは違う理由」Nミットさんは首を振った。「明日はオープニングセレモニーに王女様が来るから……」

翌日。

会議の行われるホテルの正面玄関には赤絨毯が敷かれていた。

何メートルかおきに白いシーツがかぶせてあるのは、その上を通る人が赤絨毯を踏まないようにするためである。

ちなみに、王女様が利用した後の赤絨毯はシーツが取り除かれたままになっていて、皆、平気でその上を通り抜けていたため、白シーツは儀礼的なものだったのだと思う。

警備はそれほど厳重ではないようだった。

予定より三十分ほど遅れて、車が到着した。

明るいオレンジ色のドレスを着た王女様が落ち着いた感じで入ってきた。

タイ国王の三人の娘の一人らしい。

うしろから軍服を着たお供の者が十人くらい付き従う。
赤絨毯の両脇に立っていたホテルの従業員が皆、かしづいた。

王女様とお供の人たちの後について会場に入ろうとしたら、鋭い目をした警備員が僕の前に立ちふさがった。

受付の人いわく、王女様が喋っている間は入れない、とのこと。
僕の他にも何人か閉め出されていた。

ドアの隙間から中を覗かせてもらうと、参加者は全員、起立していた。
緊張感が隙間からぴしぴしと伝わってきた。

受付の人が教えてくれたのだが、
王女様は本がとても好きで、宮殿の中に自分用の図書館を持っている。

外国を訪問するたびに本屋に立ち寄って、一時間くらい立ち読みをするため、
お供の人たちはずっと待たされるらしい。

語学に堪能で、英仏中はもちろん、サンスクリット語も読めるそうだ。

タイの図書館協会のパトロンであるため、デジタルライブラリにも関心があり、
今回の会議で挨拶してもらうことになったという。

王女様による開会宣言が終わり、基調講演になって、ようやく入ることができた。

王女様は最前列に特別に設けられた一段高い席に座っている。

隣にいた外国人参加者に、王女様がオープニングセレモニーでどんなことを話したのか聞いた。

「見事なブリティッシュ・アクセントで会議の『公式な』開会を宣言していたぜ」

と、シアトル出身の彼は言った。

基調講演が終わると、王女様は軍人に囲まれながら企業の展示スペースをぐるりとまわり、
一時間ほど滞在したあと、去っていった。

Posted by taro at 2005年12月14日 22:23

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コメント

それはすげー.
そんなフォーマルな国際会議は聞いたことないな.
俺が今までで一番豪勢だとおもった国際会議はレセプションで博物館を貸し切ってディナーをとったやつぐらいかな.

Posted by: yo-tan at 2005年12月15日 00:51

博物館貸し切りはすごいですね。
ディナー用に薄暗くした夜の博物館というのは、とても雰囲気が良さそうです。

Posted by: taro at 2005年12月15日 01:05

すごーい!女王様知的で素敵。
そういうとき、女王様って、どんな服を着てるの?タイの伝統的な服?それともスーツ?

Posted by: 井上リリー at 2005年12月16日 13:49

オレンジ色の上着に膝丈くらいのスカートでした。
伝統的な服ではなさそうでした。

Posted by: taro at 2005年12月16日 16:11

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