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2005年08月21日

真っ暗闇の中を散歩し、バーで酒を飲む「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

光を完全に遮った室内に入り、聴覚や触覚だけを頼りに歩き、
視覚に依存した日常生活を離れ、他者や自己との新しい対話を模索する。
ドイツで考案され、現在、世界中に広がっているダイアログ・イン・ザ・ダークという活動。

視覚障害者の子供と一緒に参加し、自分の子供に優れた能力が備わっていることが分かったと喜んでいる母親がいるとか。
暗闇の中で助け合うことで参加者同士の結束が強まるため、企業の研修に使われているとか。

昔から非常に興味を持っていたのですが、この夏、神戸で行われるというのを知りました。一週間ほどの開催です。
これはぜひとも参加したい。

研究室で秘書をしていたつのさんが興味を持ってくれたので、一緒に行ってきました。

会場はポートアイランドにあるジーベックというイベントホール。

一時間ほどのワークショップが一日十回程度行われるそうですが、
参加者が多すぎると収拾つかなくなるため、一回あたり七名までに制限されています。
決められた時間に行けばよいため、会場はかなり静かです。

受付で揃いの黒シャツを着たおじさんとお姉さんたちが迎えてくれます。
シャツには暗闇に驚いている人の絵が描かれていて、スタッフ用のようです。

開始時刻の15分前に集まってくださいと言われ、大ホールらしき部屋の扉前に集合しました。

ぼくとつのさんを含めて七名の参加者が集まり、スタッフの若いお兄さんたちから説明を受けます。

まずは白い杖、白杖(はくじょう)の使い方から。

「立てた時にてっぺんが自分のみぞおちくらいに来る長さのものを選んでください。持ち方は、上から十センチくらいの場所で人差し指を添えて。左右に振る時は肩幅くらいの範囲で。振り回さないでくださいね……」

各自、自分の背丈にあった白杖を選びます。

「手探りをする時は、なるたけ手の甲を外側に向けてください。どうしてかというと、手の平がぶつかると、手の甲がぶつかった時より不快に感じてしまうんですね。だから、手の甲を外に向けてください」

なるほど。そんな工夫もあるのか。感心します。

「光るものは持ち込まないでください。携帯も電源を完全にオフしてください。音を切っていても、点滅したりしますんで。場内での撮影・録音も禁止です」

真っ暗闇の中で撮影しても何も映らないと思うのですが。それとも赤外線カメラとか持ち込んだりする人がいるのでしょうか。

ひととおり注意事項を聞いた上で、「前室」に案内されます。
会場を完全に真っ暗にするために、途中に部屋を設けているのです。

「ここで目を慣らしてください」

スタッフのお兄さんに言われましたが、目が慣れても何も見えないという気が。

前室に入ったところで、アテンダントの人を紹介されます。
アテンダントというのは、真っ暗闇の会場内を案内してくれる、目の不自由な人です。
もちろん、真っ暗闇の中ではぼくらの方が不自由なわけですが。
これはダイアログ・イン・ザ・ダークの重要な特徴のひとつです。

照明が薄暗いため、壁際に立っているアテンダントの人の足のあたりは見えますが、顔のあたりは見えません。

七人が入ったところで、明るい声で挨拶されました。

「こんにちわ!」

若い男性の声です。

「H口と言います。どうかよろしくお願いします!」

はきはきしていて、頼りになる感じ。NHKの歌のお兄さん的な喋り方です。

「皆さんのお名前を聞かせてもらえますか」

「Sです」「Yです」「Uです」「Nです」「その母です」「つのです」「てづかです」

Nさんは、お母さんと高校生の息子さんがふたりで参加。
それ以外の女性三人は友達同士みたいです。

会場内での注意点について、H口さんが補足説明をしてくれます。

「ぶつかった時とか、『すいません、○○です』と自分の名前を言うようにしていただくと、早く名前を憶えられます」

なるほど。もう長いこと行われている活動だけあって、いろいろ工夫があります。

「何か面白いもの見つかったら、他の人にも報告してくださいね。迷ってしまった時には、ぼくを呼んでくれたら救出に向かいますんで……」

オーバーな表現に参加者一同、苦笑します。

ひととおり説明は終わったのですが、前のグループがつかえているようで、まだ中に入れません。

「H口、何かトークしろよ」

スタッフのお兄さんがけしかけます。話し方からすると、友達みたいな関係のようです。
H口さん、あまりトーク慣れしていないのか、たどたどしく付け加えました。

「えっと……。Nさんは高校生って仰ってましたけど、自分と同世代を案内するのは初めてなんで、ちょっと緊張しています」

え? H口さん、高校生?
声の感じではとても落ち着いて聞こえるんですが。
「嘘です。実は四十代です」とか言われても驚きはしないほどの落ち着きっぷりです。

前のグループが無事に先に進んだという連絡が入りました。
いよいよ出発です。
「H口、がんばってこいよ!」と、スタッフのお兄さんが声を掛けます。
やはり、高校生くらいなのでしょうか。

「それでは、こっちに来てください」
おとなびたH口さんの声のする方向に足を進めると、目の前にカーテンが。
いや、目で見たわけではないので、鼻の前とか顔の前と表現した方が適切でしょう。

カーテンの隙間を抜けて、真っ暗な室内に入ります。

最初の部屋もそれなりに暗かったですが、こちらは完全に真っ暗です。
いくら手を顔に近づけても、指の形すら見えません。

そのくせ、天井がすごく高いというのが気配で分かります。
気配というのは不思議なものです。おそらく音の反響の仕方を感じ取っているのだと思いますが、
無意識的にそれが天井の高さに変換されてしまうあたりが脳の神秘です。

数歩進んだところで、手に葉っぱが当たりました。
木が植わっているようです。
ホールの中に自然に木が生えていることはありえないので、たぶん植木鉢に植わっているのでしょう。
葉っぱの匂いから、本物の木であることが分かります。

白杖の先の感触から推測するに、床には木片が敷き詰められているようです。
しゃがんで実際に触れてみると、たしかに木片です。
白杖、なかなかすぐれた分解能です。
頼りになります。拡張身体。

突然、鳥のさえずりが聞こえてきました。
その中に混じって、水の音が聞こえます。
鳥の声は録音っぽいですが、水の音は本物のようです。

「そこに水がありますんでね。触ってみてください」

H口さんに手を引いてもらって、水の音のする場所でしゃがみます。
湧き水のように、ちょろちょろ水が流れています。

暗闇の中で触れる水は、かなり水っぽかったです。

H口さんの声に従って、さらに暗闇の中を歩きます。

「橋があります。注意して渡ってください」

小さな橋です。ゆらゆら左右に揺れるように作られていますが、地面からの高さが3センチくらいなので、あまり怖くはありません。

全員が渡りきったと思われたところで、H口さんが声をかけます。

「皆さん、集まってください。無事に渡れましたか」
「はーい」
「全員いますね?」
「……」

少し間があってから、「はい」「はい」「はい」と声が上がります。
いちおう、七人いるようです。
近くにいることは分かりますが、気配だけでは方向までは分かりません。

「ちょっと遠くにおられる方もいますね」

H口さん、声だけで距離感もつかめることをアピール。
台本にそう書いてあるのかも知れませんが、あえてそんなことしなくても、
暗闇の中をすたすた案内してくれるH口さんのすごさはよく分かります。

白杖の先に当たる感触が変わりました。
今度は砂利が敷き詰められているようです。
しゃがんで、確認します。たしかに砂利です。

また木が生えていました。今度の木は樹皮が横方向にぺりぺりはがれるので、白樺ではないかと想像します。

もうひとつ橋を渡ります。

ふたたび、白杖の先の感触が変わりました。
今度は丸い小石です。
白杖で触れるこつんこつんと響いて、耳に心地よいです。
杖の先で感じる硬質な感覚が新鮮です。
木片や砂利とは全然違います。

ぼく、触覚の散歩を楽しんでるな、とふと思いました。

目の方はいつまでたっても暗闇に慣れません。
ほんの少しの光も入ってこない会場なので、慣れるわけがありません。
なんで人間は僅かな赤外線も見えないのでしょうか。
少しでも見えたら、暗闇に対する意識が格段に変わってくると思います。

ぼくは途中からTシャツを脱いで上半身裸になっていましたが、
たぶん、誰にも気付かれていなかったと思います。

さすがにぼくはしませんでしたが、全裸になっていても気付かれなかったのではないでしょうか。
そういうのが好きな方は、ぜひ挑戦してみてください。

「今から階段を上がります」

突然H口さんが言って、こつこつこつ、階段を上がっていく足音が響きます。

「上にあがりましたけど、分かりますか?」

H口さんの声が上から聞こえてきます。
暗闇の中でも、喋っている人がいる場所の高さがすぐに分かります。

「皆さんも気を付けて上がってください」

誰かこける人いないのかと心配になりましたが、登ってみると三段だけでした。さすがに安全最優先の設計です。

不意に、録音されている音声が流れてきました。

『ザワザワザワザワ……。白線の内側にお下がりください……』

駅構内のアナウンス。そして人のざわつき、
電車の入ってくるガタゴトという振動まで聞こえてきます。

目の見えない人が駅でどんな感覚なのか体験しようという試みでしょう。
たしかにこれはかなり不安になります。
実際に電車が勢いよくホームに入ってきたりしたら、ものすごく怖いのではないでしょうか。

白杖の先に、駅のホームにある黄色い線のでこぼこが触れます。
でこぼこの丸くなっている形まで指先で感じ取れます。
黄色い線の内側に下がりました。

H口さんが数メートル離れた場所で言いました。

「それじゃ、これから階段を下りますね」

ここ、結構危険でした。先を急いでいたら、階段から落ちている可能性もありました。
駅のホームでは慎重に行動しなくてはなりません。

階段を下りたH口さんが声を掛けてきます。

「下にいるのが分かりますか?」

これも、下から声をかけているというのが分かります。
人間の耳は音がどれくらいの高さから来たかを分解する能力が優れているようです。
耳が上下ではなく左右についていることを考えると、どうやって判定しているのか不思議に思いますが、耳たぶでの反響の仕方と関係があるのでしょうか。

全員が階段を降りきったところでH口さんが提案します。

「ブランコに乗りたい方はいますか?」
「はーい」
「はーい」

目の前に(顔の前に)ブランコがありました。

「気をつけてくださいね」

背もたれのついた椅子型のブランコなので、立ちこぎは無理で、ぶんぶん振ることもできず、それほど怖くありません。

自分が満足すると、他の人を誘導します。

「ここでかがんでください」

普段ならここでブランコをさっと後ろに引いて転ばせるところなのでしょうが、
暗闇ではどんなことになるか分からないので、やめておきました。

他の人がブランコ体験している間、あたりをぶらぶらします。

広場の片隅に机がありました。
その上にいろいろ「物体」が置かれています。
触っただけではすぐに何だか分かりません。単なる物体です。
オレンジとピーマンを発見しました。感触や形で分かります。
何であるか分かるまでに時間がかかったのが、皮付きのとうもろこし。
やはり、触れる機会が少ないものはわかりにくい。

ゴボウとキュウリは多くの人に握られすぎたせいか、かなり柔らかくなっていて気持ち悪かったです。

蛇とかが蠢いていなくて良かったです。あったらぼくは卒倒します。

ほぼ全員がブランコに乗りました。あいにく滑り台や砂場は無いようです。

H口さん、長いこと喋り続けて疲れているのじゃないかと思いますが、明るい声で言います。

「どうでしたか。そろそろ喉が乾いたんじゃないでしょうか。これからバーにご案内しますね」

来た来た。ダイアログ・イン・ザ・ダーク名物、くらやみバーです。待ってました。

「それじゃ、こちらへ」

H口さんのいる場所で、ドアの開く音。
「おお、ドアが開いた」と、反応してしまいます。
音だけで何が起きているか分かった時、微妙に嬉しかったりします。

開いたドアの向こうから、「いらっしゃいませー」と、三人くらい、声を揃えて挨拶してくれます。
なんだか本格的です。

ぼくらはたどたどしく店内に入ります。
着席するだけで数分かかります。
みんなの座った配置から察するに、大きな楕円形のテーブルがひとつ置かれているようです。

皆が無事に座ったところで、店長らしきお姉さんが挨拶します。

「ようこそ、バー『暗闇』へ。ワイン、ビール、それからお茶と、オレンジジュースを用意してあります。何に致しましょう?」

お姉さんの声は芝居がかっていますが、明るく聞き取りやすく、『暗闇』とかいう店名にはおよそ相応しくない感じです。

ぼくはワインを注文しました。つのさんもワインを注文します。
その他の女性陣は皆、オレンジジュース。高校生のNくんはお茶。

お姉さんが傍らに寄って、ワイングラスを置いてくれます。
まったくの暗闇なのに、さっと素早くテーブルの上にワインの入ったグラスが置かれます。
全然遅れがありません。

バーのお姉さんがぼくの手を握って、
「ここです」
と、グラスに触らせてくれます。

なんだかいい感じのサービスです。

暗闇の中だと、みんな美人に思えてきます。

ワインがほんのりと香り立ちます。

「それじゃ、乾杯しましょう。こぼすといけないんで、テーブルの上を滑らせて……。あ、押しすぎると向かい側の人の膝に落ちますんで気を付けて……」

ワイングラスを滑らせます。

ちーん。ちゃんと向かいの人のグラスと当たりました。

匂いの感覚が研ぎ澄まされているせいか、
ワインの味が鋭く感じられました。
特に聞かれませんでしたが、白ワインでした。

もし目の見えない人が最初に名付けたとしたら、赤ワインと白ワインはどう呼ばれていたのだろうとか思います。
ぼくらの味覚や匂いに関する語彙は非常に貧弱です。ぼくは赤ワインと白ワインの味の違いをうまく言葉で表現することができません。

しばらく、暗闇の中でまったりします。
声だけで会話です。

音と触感しかありませんが、良い雰囲気のバーです。

内装はどんな感じになっているのでしょうか。触れられるでこぼこがあったりするのでしょうか。
ぼくが手を伸ばそうとする前に、お姉さんが申し訳なさそうに言いました。

「おくつろぎのところ申し訳ありませんが、そろそろ次のお客様が来られます。本日は来てくださって、ありがとうございました」

たどたどしく店を出ました。

そしてダイアログ・イン・ザ・ダークの暗闇巡回コースも終了です。

「これから少し明るい部屋に入ります。感想とか聞かせてください」

カーテンをくぐって、小さな部屋に入ります。
いきなり眩しいところに入ると目に良くないため、この部屋はかなり照明を落として、暗くしてあります。
しかし、少しでも目が使えるというのは真っ暗闇とは大きな違いです。

人数分の椅子が円形に並べられています。
皆、腰掛けました。

初めてH口さんをはっきりと見ることができました。
やはり、普通に高校生でした。
すごく若い。
ちょっとびっくり。
バーでぼくらに酒とか勧めてる場合じゃないです。
でも、暗闇の中ではすごく自然でした。

最初に明るい中で会っていたら、その時の姿が暗闇の中でもずっとつきまとっていたと思います。
「ひょっとして四十代かも知れない頼りがいのあるH口さん」というイメージは形作られていなかったかも知れない。
暗い中で出会うという順序も、うまく工夫されていると思いました。

「感想を聞かせてください」と、あいかわらずおとなびた声でH口さんが言います。
声を聞くと、頼りがいのあるイメージが甦ります。

「暗闇の中で何も見えなくて。どういうところを使いました?」
「足の裏とか」
「手」
「聴覚」

皆それぞれ、思いつく場所が違うようです。
足の裏というのはぼくは思い浮かびませんでした。
ぼくが鈍い感覚のひとつかも知れません。

女性参加者のひとりがH口さんに聞きました。

「こんなこと聞いていいか分からないんですけど……。H口さんはいつも、暗く見えるんですか?」

H口さんは少し考えるような仕草を見せて、それから逆にぼくらに聞き返しました。

「これは皆さんに考えてもらいたいんですけど、僕は耳が聞こえない人にとって世界がどうなのか分からない。ぼくは生まれた時から目が見えないので、暗いと明るいの違いが分かりません。だから、今、暗いという感覚もありません。生まれてからずっとそうだったので、これがぼくにとっての世界なのです」

たしかにそうなのだろうと思います。

第六感のない我々が第六感のある人に、「皆さんはいつも韲く韶るんですか?」とか聞かれても、「分かりません!」と答えるしかないようなものだと思います。

ぼくも質問をします。

「ぼくらは立方体とか正四面体とか思い浮かべる時に、ある視点から見た形、つまり二次元に射影した図を思い浮かべてしまいますけど、H口さんの場合はある視点から見た形を思い浮かべるわけじゃないですよね。立体そのものを思い浮かべるというか。ぼくらよりも三次元的なイメージを持てているんじゃないかと思うんですけど」

H口さんは困ったような顔をして、

「どうなんでしょう。触れたことがあるものは思い浮かべられますけど……」

H口さんにとってはそれが自然なことなので、どのように説明してよいのか困っているという様子です。
比較しようがないのではないかと思います。
しかし、立方体を思い浮かべてくださいと言われた時に、まずその触覚が思い浮かぶ。
我々がものすごく拘束されている「視点」という場所から自由であるというところ。
ぼくが目の不自由な人からすごく学びたいことのひとつです。

ひととおり感想を述べあったあと、H口さんとお別れです。

椅子から立ち上がって、

「誰かぼくをアテンドしてくれますか」

と言いました。その時初めて、アテンダントという言葉は本来、視覚障害者に付き添う人のことを指すというのを知りました。

「はい、私やります」

つのさんはアテンダントという言葉を知っていたのか、すぐにH口さんの腕を取りました。

バー『暗闇』の女店長が入ってきて、白杖を回収していきました。

暗闇の中ではおとなっぽい感じでしたが、実際は結構童顔な人でした。

小部屋を出ました。

ロビーは明るい。
スタッフの皆さんが迎えてくれます。

参加者七名でロビーのテーブルを囲んで、感想文など書きながら、ああだこうだと議論しました。

「やっぱ駅は怖かったな」
「ほんま。あれはかなわんと思うわ」
「梅田とか歩きたくないな」
「歩きたくないなー」

そこからバーの話になって、真っ暗でも滞り無くグラスを差し出せるお店の人たちはすごかったなぁといった意見が出たあと、

「あのジュース、100パーやった?」
「バヤリースちゃう?」
「いや、どちらかというと懐かしい感じの味やった」
「ポンジュース?」
「そんな感じ」

そういうことを女性参加者たちが語り始めます。
いくら真っ暗闇の中でも、しっかりチェックしているようです。

やがて話題は今回のイベントに戻って、

「やっぱ一回につき七人が限度ですかね」
「そやね。将棋倒しとかになったらあかんもんな」

将棋倒し。スケールの大きな想定です。

スタッフの人がテーブルに近づいてきて、感想を聞かれました。ちなみに今日が初日です。スタッフも感想が気になるのでしょう。

「どうでした?」
「すごい面白かったです」
「バーでは何を飲まれました?」
「オレンジジュース」と女性参加者。
「お酒飲まれた方は?」
「はい」とつのさん。
「匂いがすごいいいでしょ」
「ええ。あと、隣の人のオレンジジュースの匂いも分かりました」とつのさん。ほんとかよ。
「香水の匂いが強く感じられるようになった、とかいう参加者もいましたよ」とスタッフ。

ひょっとして体臭とかも強く感じられるようになるのでしょうか。
もし人を匂いで区別できるようになったりしたら、かなり奇妙な感じです。

ぼくは先ほど聞けなかった質問をスタッフの人に聞いてみました。

「この企画、耳の聞こえない人が参加したらどうなるんでしょうか」

視覚から入ってくる情報が75%だそうですが、聴覚からはどれくらいなのでしょうか。
触覚・嗅覚・味覚合わせても、5%くらいな気がします。
その5%で世界に接するとなると、ぼくらが暗闇で見えなくなるのとはまたレベルが違うような気がします。

しかしスタッフのおじさんいわく、

「残念ながら今回は耳の聞こえない人の参加をお受けしていません。準備の期間が短いですから。でも、ドイツでは受け入れてるみたいですよ。あっちは常設で、アテンダントもプロフェッショナルですし」

つのさんがそれに反応。

「ドイツは常設ですか。行ってみたいなそれは。ドイツ語できないとだめですか」
「ええ。全部ドイツ語だと思います」
「ドイツ語分からんなー」
「通訳の人に間に入ってもらうしかないですね。アテンダントの人が何か言ったら、それを翻訳してもらって。やっと分かる」
「危ないわそれ。でも、目の見えない人は旅行大変やな。標識とか英語で書いてあっても、読めへんし」

その後、公式ガイドブックを見ていたつのさんが、ドイツの会場には英語のできるアテンダントもいることを発見。
ハンブルグにあるそうですが、今度是非行ってみたいと言ってました。

現在、ダイアログ・イン・ザ・ダークのスタッフは神戸にも常設の会場を作ることを目指しているそうです。
これはぜひ実現して欲しいです。

そしてより多くの人にこのイベントを体験してもらいたい。


ダイアログ・イン・ザ・ダークのページ:
http://www.dialoginthedark.com/

Posted by taro at 2005年08月21日 23:40

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