メイド喫茶で読書会

大阪や京都でメイド喫茶を何軒か訪ねたが、いずれも普通の喫茶店にメイドさんを置いたという感じで、あまり満足のいくものではなかった。

やはり、メイドカフェの神髄に触れるためには、本場秋葉原まで行かなくてはなるまいと思い、東京に住む友人たちに声をかけた。

僕は常々喫茶店で読書することを最大の楽しみのひとつとしているので、
「メイドカフェで読書会」という企画になったのは自然な流れである。

単純に、他の人たちがどんな本を読んでいるのかも知りたい。
知り合いは基本的に面白い本を教えてくれるものである。

秋葉原駅の電気街口で待ち合わせ。
定刻に集まったのは僕を入れて七名。

小関は大学の頃の知り合いであり、今は東京で働いている。
学生時代はたしかビデオをマンガに変換するシステムを研究していたはずだが、それ以外にも自分のウェブサイト上でいろいろ面白いアプリケーションを公開している。
今日は会社帰りということで、スーツ姿である。

ただよしは高校の頃からの友人で、ソフトウェア工学の研究室を修了し、現在はプログラマーとして働いている。

サコも同じ高校の出身で、学年はひとつ下なのだが、最初は出版系の会社に就職し、今はコンサル系の会社にいるとか。
昔、一緒に北朝鮮に行ったりした。

C嬢は小関のネット上での知り合いであり、僕とは初対面。
リアルな関係としては、小関が昔所属していた劇団の団長の彼女の友達、ということになるらしい。
大学院生で、コンピュータを利用した協調作業支援(CSCW)の研究をしているそうである。

玄米嬢とは京都にいる頃、おいしいものを食べに行く会で知り合ったのだが、
言語に興味があるということで、最近は東京に行って外大に入り直して、大学三年生をしている。
何を勉強しているのかと聞いたら、翻訳ソフトを作っている研究室の授業でPerlの勉強をしているらしい。
最近は外大でプログラミング言語も教えているのか。

全般的に、今日の参加者はプログラミング系が多い。

そして僕の祖父、ぶうじい。
母方の祖父なのだが、いつも赤い車(赤ぶーぶー)でどこか連れて行ってくれるので、僕がぶうじいと呼び始めたのだそうだ。
もともと海軍の学校にいたとかで、電気系の工作が好きであり、僕が小さい頃、秋葉原によく連れて行ってもらった。
当時の秋葉原は(今でもそうだが)電子部品のショップが連なる工作少年にとっての楽園だったのである。

そして二十一世紀。
変わり果てた秋葉原の姿を見てもらうためにも、今回の企画に誘ったという次第。

「祖父のぶうじいです。今、いくつになるんだっけ?」
「年のことはもういいよ」
「それじゃ、祖父は昭和二年生まれなんで、計算してください」

今も現役で神田で働いている。仕事が保険の代理店なので、定年がないのである。

中央通りから神田明神通りへ、電器店のまばゆいネオンの間を抜けて、通りに面した細いビルにたどり着いた。

今回訪問するのは、メイドカフェ業界では有名な店という「@ほ〜むカフェ(あっとほーむかふぇ)」。

秋葉原通の高校時代の友人から教えてもらった。

ビルの七階にあるのだが、六階は同じ@ほ〜むカフェのオリジナルグッズの専門店らしい。

五階も同じ系列の店で、「女中茶房」という看板が出ている。和風のメイドカフェなのだろう。
四階はメイドさんによるボディマッサージ。
一階から三階まではDOS/Vパラダイスというパーツショップである。

エレベータで七階まで上がった。
小さいビルなので、ワンフロアをメイド喫茶が占有しているわけだが、それでも店内はすごく小さい感じ。
すぐにメイドさんが出てきて、

「すみません、今、満席なので、こちらにお並びいただけますか」

白地のシャツの上に茶色の上着とスカート。
結構、控えめな服装である。オーソドックスなメイドさんという感じ。

噂には聞いていたが、喫茶店で並ばされるというのがすごい。

「交代制なんで、そのうち空くと思いますよ」と小関が言うので、待つことにする。

入り口のガラス戸の上に、ポスターやイベント告知やらがべたべた貼られている。
DVD発売のお知らせもある。

入店者への注意書きがあった。

・メイドさんに触らないようにしてください。
・メイドさんに言い寄らないでください。
・メイドさんにしつこくシフトなどを聞かないでください。

などなど。

シフトを聞かないでください、というのがかなり具体的で笑える。
ストーカーさんの姿が目に浮かぶ。

写真撮影は、店の前でも中でも禁止。
写真好きの玄米嬢が一枚撮ろうとしたところ、すぐさまメイドさんが出てきて、
「お嬢様、お写真は禁止になっております!」と、甲高い声で言われた。

店の外の階段に列を作って並びながら、僕は祖父にしみじみと言ってみる。

「どう、この日本のだらけた姿」
「いやー」
「ぶうじいの友人たちが命をかけて守った日本が、今はこんな風に……」

ふたたびメイドさんが出てきて、「ご主人様、お嬢様、もうしばらくお待ちください!」と、かわいらしい声で言う。

「でも、昭和の初期にも、女中さんのいるカフェとかあったのかな。『カフェー』とかいう」
「ああ。あったね」

女中じゃなくて、女給だった。

話しているうちに、他の客も集まってきて、列はさらに長くなった。
結局10分ほど待たされたが、
今までにも何度かメイド喫茶に行ったことがあるという小関によると、「これは待たされない方ですよ」。
平日の晩だったのが良かったのかも知れない。

いよいよ入店。店に入るなり、メイドさんたちが声を張り上げる。

「おかえりなさいませ!」「おかえりなさいませ!」

黄色い声で歓迎してくれる。

そのまま奥のテーブル席に通される。

店内はそれほど広くない。30人も入ったら満席という感じ。

内装は案外普通である。
小綺麗ではあるが、普通の喫茶店と大差ない。
本家秋葉原でもこんな感じなのか。

だが、奥にカウンターとステージがある。
テーブル席は座席代が500円、カウンターは300円で若干安く、しかもメイドさんとゲームができるという特典がある。
ただし、一回につき500円。
ゲームを遊んでもらうにも、結構お金がかかる。

見た感じ、カウンターにはひとりで来ている人も多い。
メイドカフェで発見されることが期待されるような人々である。

一方、テーブル席の方は、我々のように、興味で来ている人間が多いような気がする。
我々の隣のテーブルは、女性ばかり三人連れである。

メニューは普通の喫茶店とあまり変わらないが、
「お気に入りのメイドさんが作ってくれるカクテル」など、付加価値の高い商品がいくつか置かれている。

さらに、オリジナルのBGMが流れている。
時折、

♪おかえりなさい、ご主人様〜

というフレーズが意識下に顕在化される。

テーブルの上に金色のチャイムが置かれていて、これを鳴らしてメイドさんを呼ぶのだが、なかなか緊張する。
そのような偉ぶった態度を取ることに慣れていない。

「インドネシアに赴任した商社マンの家族とか、家に女中さんがいるらしいんだけど、奥さんは今まで女中をつかったことが無かったりするから、苦労するらしい」
「なるほど。人をつかうのにもコツがいるわけですね」
「だからこういう所で練習しておく」

チャイムの音を聞きつけて、メイドさんが飛んできた。
そして床に膝をつく。
これが注文を取るポーズ。
膝が痛そう。気兼ねしてしまう。

そのメイドさんは非常に物腰柔らかく、好感度の高い人であった。
何人か、特に、入り口で列の整理をしていたメイドさんなどは非常に性格がきつそうな感じであった。
メイドさんには向いていないのではと余計な心配をしたが、
ひょっとしたらそういうのが好きな客もいるのだろうか。
巷ではツンデレ(ツンツン+デレデレ。最初はツンツンしているが、ゲームが進むにつれて急にデレデレしてくれるという、美少女ゲームの典型的デザインパターン)が大流行と言われているが。

客のひとりがステージに立って、メイドさんと並んでポーズを撮り始めた。
楽しげである。
一枚500円だそうである。

カウンターに座った別の客は、メイドさんと「黒ひげ危機一発」(樽にナイフを差していくうちに海賊が飛び出るおもちゃ)で遊んでいる。
この客は、ひとりで来ているっぽい。
暗く楽しんでいる感じである。

ウェブ制作の会社を経営しているyuko嬢が遅れてやってきた。

さらにしばらくして、大学のゼミが長引いて遅れたというAz嬢もやってくる。
最近、新聞社との共同研究に関わっていて、新聞がなぜ読まれなくなっているのかを調査しているとか。
アンケート票の作成を担当し、質問項目を決める仕事をしているらしい。
その打ち合わせが長引いて、今日は遅れたのだそうだ。

ぶうじいが言う。
「僕は終戦の時、厚木の航空隊にいて。特攻隊の順番を待っていたんだよ。最初に行った連中から、沖縄の海に散ってしまってね。だから僕が死んだら、灰は沖縄の海に撒いて欲しいって言ってるんだ」
「ぶうじいって、このメイドカフェに来たお客の中で、最年長なんじゃないの?」とただよし。
「そうかも知れない」

「最近思うのはね、一期一会ですよ」とぶうじい。「地球に数十億人の人がいるけど、実際に会って話せるのは数百人でしょ。だから、ひとつひとつの出会いを大切にしなくちゃいけないって思ってね」

メイドさんが料理を持ってきた。小関にオムライスを差し出しつつ、

「オムライスです! ケチャップで『萌え』と書いてあります!」

と、鼻に掛かった声で言う。

「ちょっと、トイレ行ってくるわ」

何に緊張したのか、ただよしがトイレに行く。
その間にメイドさんがやってきて、ただよしが頼んだ紅茶を置こうとしたが、不在のため、

「こちらのご主人様は……」

と、かわいらしく首を傾げる。

「ちょっとトイレに行ってるみたいですね」
「それじゃ、また来ます」

その場でメイドさんが注いでくれるというのがひとつのポイントらしく、ポットを持ったまま帰っていった。

メイドさんが言ったセリフを小関が面白がって言う。

「ご主人様がたくさんいるっていうのも、変な感じですね」
「あちらのご主人様、こちらのご主人様か」
「混んでいる時は、『申し訳ありません、ご主人様、今日は満席です』って言われるらしいですよ。自分の家なのに、入れない……」

メイドさんたちは客に呼ばれるたびに店内を走りまわり、大変そうである。

「メイドさんの声、かなり独特ですよね」
「きっとボイストレーニングしてるって」
「してましたよ。この前のぞいたら」
「努力しているんだ」
「でも、おっちょこちょい系のメイドカフェというのもいいかも。よく失敗するの」
「それ、いい」yuko嬢とAz嬢の意見が一致する。

「秋葉原なんて、メイドカフェができるまでは女の子ひとりでこれる場所じゃなかったですよ」とyuko嬢。
「そうですね。僕はアキバってのは人とよくぶつかるなぁという印象があって……。こうやって両手に荷物持って、下向きながら歩いている人ばっかという感じで」とサコ。
「そうか。人間関係の距離の取り方が分からない……」

ずいぶん毒舌家な皆さんである。

メイド姿の女の子がたくさん歩きまわることにより、コスプレの人も増えてきて、
女の子が気安く歩けるようになったというのはあるのかも知れない。
メイドカフェは秋葉原の活性化にも大きく貢献しているのか。

今回の集まりの本来の趣旨は「メイドカフェで読書会」であったため、それぞれ持ってきてもらった本を見せてもらう。

今読んでいる本か、お気に入りの本を持ってきてもらうようにお願いしている。

小関は「ドルードル」という文庫サイズの本を持ってきていた。

「これ、手塚さん好きそうかなと思って」

各ページに大きく図形的な絵が示されていて、その横にユーモアのある説明が書かれている。
絵を使ったなぞなぞ、という感じ。
かなり独特なジャンルであり、これを最初に考えた人は賢いと思った。

ぶうじいは「昭和史」という白い表紙のハードカバーを持ってきていた。
半藤一利さんという人の本。著者のサイン入りだった。
するとサコが急に姿勢を正して、「おお。この人は僕の中で五本の指に入る名文家ですよ」
「それじゃ、これをあげるよ」とぶうじい。
「え。いいんですか」
「うん」

ただよしはMBA(経営学修士)に関する本を持ってきていた。「いろんな意味で使えるかも知れないと思って」

そしてさらに、自分が最近、Java Press に書いた記事も持ってきてくれていた。
JakartaのTomcatのソースコードを読もう、という内容。
「あー、これは読みたい」と、C嬢。
連載記事で、それ以前にはJUnitやStruts、eclipseのソースコードを読む記事を書いたらしい。
それらをまとめた本が近々出版されるとか。
ソースコードの美しさについて広く知ってもらうことがただよしの最近の目標らしい。ソフトウェア美学。

サコは中上健司の「岬」を持ってきていた。今、読んでいるところだという。これで妹系カフェだったりしたら誤解を招く。

Az嬢のお奨めは、オーストラリアで博打によって生計を立てている著者による「無境界家族」という本。
本人はとても落ち着いて洗練された上品な雰囲気の人なので、「似合わない!!」と、皆から言われていた。

C嬢は読書会向けの本は持ってきていなかったが、たまたま鞄にオライリーの Flash Hacks が入っていた。
彼女、未踏ソフトウェアに採択されたという、かなりの才媛であることが分かった。
未踏ソフトというのは情報処理推進機構(IPA)が行っている事業であり、
面白いプログラムを開発する人やグループに資金提供し、日本の技術力を高めようという試みである。
金額が大きい上に、予算を何に使ってもよく、報告書は一枚でもいい。とにかく面白いものを作ればOK。
ソフトウェア開発者にとっては実に魅力的なプロジェクトであり、年に何十件か採用されるが、非常に倍率が高い。

「そのオライリーの何々Hacksのシリーズで、最近出た……」と僕が言うと、
「あ、分かります」
Mind Hacks
「そうそう」
「かなり面白いよね」

ただよしと小関が賛同し、「買おうと思ってるんです」と言う。

「こうやって片手と机の両方を同時に叩かれるというのを続けた上で、机の方だけを急に強く叩かれると、手も痛く感じるという」小関が説明する。「これとか、面白いですよね」

先日、イギリスのエディンバラに行った際、カメラ・オブスキュラという百年前からある観光施設を訪ねたのだが、
屋上に鏡を設置して街の風景を暗室のテーブルの上に映し出すという、現代ではちょっと地味すぎるメインアトラクションを補うためか、
「錯覚で遊ぶ」という体験型の展示がたくさんあって、そちらの方がずっと面白かった。

「お台場の日本科学未来館の五階にもそんな展示がたくさんありますよ」と小関。
今度、行ってみたい。

「手塚さんと昔、催眠術研究会にも関わってましたよね」と小関。
「やったやった。またやりたい」

僕が持ってきたたくさんの本の中に、ダニエル・デネットの「解明される意識」というのがあったため、紹介する。

「この人、もともとは進化論とか論じていた人なんだけど、意識の流れに関しても同じようなモデルが適用できないかというのを議論していて。『自分』という意識は実は脳の中にいくつも並列で存在していて、その中で役に立つ意識、適応した意識だけが生き残っていくという考え方で」
「つまり、秒単位でスレッドが分かれて……」
「そうそう。良い思いつきをした自分は生き残るけど、ぼーっとしていた自分は消えていくとか」
「ラマチャンドランの『脳のなかの幽霊』、読まれました?」と小関。
「持ってるけど、まだ読んでない」
「見えているという自覚が無いのだけど、実際には見えているので生活できる人の話とか。いろいろ面白いですよ」

僕はその他にもいろいろ本を持ってきていたのだが、
小さい頃読んだ「もっとたくさんの怖いお話」という本の中にある「窓際のベッド」という話が印象に残っていて、
非常に短いため、全体を聞いてもらった。

みなさん面白いと言ってくれたが、儀礼上そう言った可能性もあり、実際どう思ってもらえたのかよく分からなかった。

これは僕の人生で一番印象に残っているショートストーリーのひとつである。

照明が落とされ、ミラーボールが回り始めた。
ステージの上にメイドさんが二人立って、マイクを握って「これからじゃんけんゲームをします!」と
勝った人は記念コインがもらえるらしい。

じゃんけんの手を出す前に振り付けがあるらしく、ステージに立って実演してくれる。

「まずは両手を合わせて輪を作ります。これが@ほ〜むカフェの、@のマークです」

オリジナル振り付け。

「さらに、こうやって猫耳を作りながら、掛け声は、『萌え、萌え』です!」

「萌え! 萌え!」

客たちが練習する。

「それじゃ、行きますよ!」

我々も童心に返った気持ちで猫耳を作り、『萌え、萌え』とポーズを取る。

「じゃんけんぽん!」

yuko嬢だけ予選を勝ち抜き、決勝でステージに立ったのだが、あえなく他の客に敗れて、すごすご帰ってきた。
だが、メイドさんたちに囲まれて舞台に立ったその姿はなかなか堂々としたものであった。

店は90分交代制である。やがてメイドさんが来て、丁寧に僕らを追い出そうとする。

「そろそろおでかけの時間です」

名残惜しみつつ、店を出た。

読書会と言いつつ、お喋りばかりしていて、自分の好きな本を紹介するだけの会になってしまった。
だが、面白い本をいろいろ見せてもらえたのは良かった。

熱烈に多弁な面々の中にあって、玄米嬢は自分の本を出すタイミングを逃してしまっていた。
あとで聞いてみたところ、エドガー・アラン・ポーの「盗まれた手紙」という本を持ってきていたらしい。

「若い人と話せて面白かったよ」とぶうじいが気前よく全員分の代金をおごってくれた。

もう一軒、別のメイド喫茶に行こうかとも思ったが、その時点ですでに21:45になっていて、
メイド喫茶はだいたい22:00閉店ということで、普通の喫茶店に入り、さらにお喋りした。

「この前、ゼミでPodCastingの普及策を考えるというのがあって」とAz嬢。
彼女のグループは「携帯型の恋人」という案を出したという。

「こうやって画面上に女の子の映像が表示されて。『光香、お散歩行きたいな』。街を歩いてる時に、『あー、光香、カフェオレ飲みたいなー』とか言って、『それじゃ、飲むか。カフェオレ、二杯ください』とか」
「デート気分を味わえると」

プログラムのくせに、すごい主体的な女の子であるところがポイントか。
「山歩きの好きな女の子」とかを買ってくると、減量効果があるとか。

「そういうのって、男性が持っていても違和感ないけど、女性が持っていたらすごく奇妙な感じしますよね。なぜだろう」というのが僕の疑問。
男性の方が妄想好きということだろうか。

yuko嬢の弟は妹系カフェにはまっているらしい。

「妹系カフェならいいですけど、お姉さん系カフェにはまっていたりしたら、姉としては気持ち悪くないですか?」
「どうでしょう?」

僕には妹がいるので、僕が妹系カフェにはまったりしたら、妹としてはすごく気持ち悪いのではないかと思う。

「妹がいる人は妹系カフェにはまらないんですよ」と小関。
それはあるかも知れない。

「付き人カフェとか、どうですか。力士が付き添ってくれるの」と、相撲ファンのサコ。

「教授カフェとか」と小関。
「教授がお茶注いでくれるの?」
「いや、教授になった気分を味わえるという。学生に『君、論文は書いているのかね』と言えるとか」
「マニアックだな」
「それじゃ、サラリーマン向けのは秘書カフェというのは?」
「ノートPCを持ち込んだりしたら、仕事がはかどるかも知れない」
「池袋には、ひつじカフェがあるらしいですよ」とC嬢。
「ひつじカフェ?」
「ええ。ひつじカフェ」
「ひょっとして、執事カフェですか?」
「そうです。ひつじカフェ」
「Cさん、東京の出身?」
「ええ。中野とか練馬を転々としてましたけど」

生粋の東京人は本当に「ひ」と「し」の区別ができないのだなと、ちょっと感心した。
僕もサコもただよしも、東京出身とは言っても西の外れ、三多摩の生まれである。
「三多摩は戦前は神奈川でしたから」とサコが補足。そうだったのか。

その他、「こんなカフェがあったらいい」という夢を語り、議論は深夜まで及んだ。

℃ Taro Tezuka 2006.6.17
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