【体験報告】
河原で映画を上映する
「河原で映画を見る会」という企画を行なった。
自分が見たい思う映画を河原で上映し、
多くの人に見てもらい、感想を語り合うのが目的である。
必要なもの:
液晶プロジェクタ
スクリーン
発電機
スピーカー
ノートPC
延長コード
ケーブル類(RGB等)
DVD
ゴザ/ブルーシート
プロジェクタを載せる台(自転車で代用も可)
台車(機材を河原まで運ぶのに必要)
鴨川
上映するのは、「ガタカ」。
昔から見たいと思っていたのだ、部屋でひとりで見てしまうのはもったいなく、
今回の上映会に至るまで我慢していた。
前日の晩、近所の駐車場で予行練習。なんとか動いた。
そして日曜日の夕方。手伝ってくれた友人たちと共に、三条大橋の北側の河原にスクリーンを立てる。
スクリーンから5メートルほど離れた橋の下に、発電機を置く。
音がうるさいことを心配したが、うまい具合に川の音に消されて、まったく気にならない。
ノートPCと液晶プロジェクタをつなぎ、発電機から電気をもらって、投影を始める。
無事に動いてくれた時は、ささやかに感動した。
プロジェクタの設置には自転車を活用。
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上映開始してから数分後。外人の男の子がスクリーンの前で立ち止まった。
「コレは、ガタカ?」
日本語がかなりうまい。高校を卒業したばかりの18才とのこと。大人っぽい。
カリフォルニアの大学に進学する前に、日本に遊びに来たのだそうだ。Samuelという名前。
「ガタカ、すごく好きです。日本の、映画は、AKIRA、が好きです。Is AKIRA popular in Japan?」 「Sure」 「Cowboy Bebopも、DAISUKI」
座って、映画に見いる。
さらに、外人のふたり連れの女性が立ち止まった。
"Gattaca?"
"Yeah. Gattaca."
と会話。外人の間ではすごい知名度である。
「I think this is a great idea!」と、企画自体も褒められた。
外人彼氏と日本人彼女のカップルがスクリーンのすぐ手前に座り、熱心に見ている。
ゴザを渡したら喜んでいた。
ヒスパニック風の若い男性も腕を組んで後ろの方に立って見ている。 音声が英語のためかも知れないが、外人客が多まくり。
立ち止まる人々。
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だが、日本人も負けてはいない。
三条大橋の上に、一時、鈴なりになって下を見下ろしている人々。
「良かったら見ていってくださ〜い」と声を掛けてみたが、降りてくる人はいない。
歩いていた日本人の女の子を呼び止めて、
「映画、見てきませんか」と声を掛けると、
「いいですねー、この企画」
のりが良さそう。大阪から来ているらしい。
「この映画、知ってますか。ガタカって言うんですけど」
「知らないなー」
「日本だといまいちマイナーみたいなんですけど、外人はよく知ってて……」
ヒスパニック風の彼に振ると、 「Really? This is one of my favorite movies」 と、会話が始まった。あとは彼に任せた。
学生の男の子ふたり連れが立ち止まった。
ひとりは、京都に遊びに来ている早稲田の学生。
「京都って、どこに行っても雰囲気があっていいですよね」
どこに行っても、というより鴨川という空間は本当にすばらしいと僕は思う。
途中、思わぬハプニングも。
発電機を液晶プロジェクタにだけつないで、ノートPCにつなぐの忘れていたため、
上映の途中でバッテリが切れてシャットダウンしてしまった。
すぐに原因は分かったが、元に戻すためには再起動し、
DVDをまわし、先ほどの場所まで進めて……
おまけにこの機会に発電機にガソリンを補給したために時間が掛かってしまったが、
その間ずっと、観客の皆さんがその場に残って待っていてくれたのは嬉しかった。
ぐずついていた発電機が動き出し、再開できそうになった時、
「You're almost there!」とかいう掛け声が掛かった。
なんて暖かい参加者たちだろう。
外人彼氏日本人彼女のカップルはポテトチップスくれた。
外人女性ふたり連れもポッキーくれた。
「Here. Have some chocolate」とか言って。
ポッキーもチョコレートなのだなと、少し感心。
カリフォルニアの男の子は500円玉を差し出し、
「Hey I should pay for the generator... Take it. If you don't take it I'll kick your ass」
と言うのでおとなしくもらっておいた。 「Share the love and wealth」 とも言っていた。
そのうち、男の子の父親がやってきた。親子で来ているのだ。
そういえば、「台北へはひとりで行く」と言っていたな。
ふたり並んで座って、
"Hey Dad, you'll like this scene."
とか言って説明している。
ピアニストのシーン。確かに印象的である。
屈折した感情と美しい音楽を重ね合わせ、情感を醸し出している。
男の子の父親は医者らしいがなかなかノリのいい人で、息子が 「Cute girls. They smoke cigaretts too much」と言ったら、 「Where? Where?」と きょろきょろ見回してた。 「Never mind. Just watch the movie」と息子。いい感じの親子だった。
ホームレスのおじさんたちが三人くらい固まって見ていた。
そのうちひとりは肥えた若い三十代くらいのお兄さんで、
あまりホームレスっぽくなかったのだが、僕のとこに近づいてきて、
「これは、許可を取ってやってるんですか」
「いえ、無許可です」
「お金とかは……」
「取ってませんけど」
「失礼ですけど、お名前は」
「手塚です」
「連絡先は……」
どんどん聞いてくるので、
「それはちょっと……」と語尾を濁すと、
「あ、じゃぁいいです。なら、」とやけにあっさり引き下がって、去っていった。
やくざにでも報告しに行ったのだろうか。
さらに、立ち止まる人々。
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その後はトラブルもなく、映画は無事終了。 ずっと見ていてくれた人たちから感想を聞いた。
国際派カップルの女の子が言う。
「一番好きな映画なんですよ……ずっと、また見たいなと思っていて。嬉しい。こんな風に見れてよかったです。川とか流れてて」
「どんなところが好きなんですか」
「音楽から何まで全部」
多くの人に喜んでもらえてよかった。
鴨川の公共空間を利用して、いろいろ面白いことが行なえそうだという感覚を持ってもらえただろうか。
あいにく、僕自身はまったく映画の筋を追えなかったが。
次の週は、世界的に有名なアニメ映画「AKIRA」の上映を行なった。
だが、こちらは友達を呼びすぎたためか、
知り合い二十人ほどでスクリーンを取り囲む形になってしまい、
通行人が入ってきにくい雰囲気だった。
それでも、国際派カップル二人が来ていたし、
「I'll bring my roommates」と言っていたヒスパニック風の彼は、本当に寮の友人を三人連れて来ていた。
だが、新しく来た人との交流はほとんど無かったのが残念。
こちらから立ち止まっている数名に話しかけた程度。
ひょっとしたら、「アニメ? オタク?」という風に敬遠されてしまったのかも知れない。
また、日本語音声に英語字幕だったため、外人には入りづらかったという可能性もある。
Anime? Otaku?
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終わったあとは花火をして、それは楽しかったが、
上映自体は初回ほどの満足が得られなかったと僕は感じた。
次に行う時は、参加者間の交流が目標である。
映画を漫然と見ているだけでは、一緒に見る意味があまりない。
バーベキューをしながら、プロットがあまり重要でないコメディ映画を流すという形が、好ましいかも知れない。
カリフォルニアの高校生。「Share the love and wealth」と言ってました。
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