深い悲しみ
友人のY君が死んで、お葬式にいけなかった僕は、
しばらく経ってからY君の実家を訪ね、お焼香させてもらった。
ご両親とゆっくり話す時間を持てたが、
話をしている途中で、お母さんは泣き出してしまった。
「息子の話をしていると落ち着く」とは言っていたものの、
なんだか悪いことをしてしまった気もする。
会話の中で、お母さんが言っていた言葉が印象に残った。
「昔は街を歩きながら、他の人たちもみんな夕食の支度のこととか
考えながら歩いているのだろうななんて思っていたけど。
こうして息子を失ってみると、
自分の他にも深い悲しみに沈みながら歩いている人は
たくさんいるのだろうなと思えてきてね……」
たぶん、その通りだろう。
そしてそんな風に考えると、もっと人にやさしくなれそうな気もする。
℃ Taro Tezuka (2002.3.3)
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