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【体験報告】 育毛会社のヘアチェックに行ってみた 先月の初め、21才になった。 最近、誕生日が来ても実感がわかない。 「もう21かぁ」と思うだけ。 こんなことで、いいんだろか。 これでは人間が成長しない気がする。 だから、ここ数年、誕生日を迎えるたびに、 何かしら自分の年を実感させるようなイベントを設けるようにしている。 20才になった際には、桂離宮を見学し、人間ドックで検診を受けた。 京都の名勝、桂離宮と修学院離宮は20才以上でないと見学できないことになっている。 人間ドックは体力の衰えを感じたために受けた。 21才になった今、年齢を実感できるイベントはないものかと思い、友人に相談したところ、 「結婚相談所に行ってみるのはどうか」 「若さの記念に裸体画を描いてもらうのはどうか」 「ヌード写真を撮ってもらうのはどうか」 「かつら会社のヘアチェックを受けるのはどうか」 などという提案をもらった。 ヘアチェックは面白いと思ったので、 「桂の次は鬘かぁ」 などとアホなことを言いながらも行ってみることにした。 電話帳でカツラ会社の電話番号を調べ、 「ヘアチェックやってますか」と聞いてみると、 「はい、お時間の方は?」 こんなに簡単に試せるとは思わなかったので、少し戸惑う。 友人と一緒に行くつもりだったのに、 「一人で来てください」とのこと。 「プライバシーの問題がありますので」 って言うけど、僕が一緒に行きたいと言ってるのだから、 プライバシーも何もないんじゃないの? 予約をとって、四条烏丸にある事務所まで行く。 ビルの4階でエレベータを降りると、 事務所というより、ホテルのロビーのような雰囲気。 両側に自動ドアがあり、右が「男性用サロン」、 左が「女性用サロン」。男性用のドアを入ると受付カウンターが設けられている。 その奥が事務所。6人くらいの事務員さんがパソコンで作業していた。 予約を取っていることを伝えると、8畳くらいの広い個室に通され、 「カウンセラー」の先生が来るまで待たされた。。 部屋の真ん中に大きな机、それを挟む二つの椅子、 奥にはテレビ。壁には脱毛の様子を説明するポスターが貼られている。 顕微鏡と、よくわからない装置がいくつか。 部屋のドアには覗き穴がついているけど、この穴、なぜか外から見るための穴。 僕がカウンセリング受けている様子を誰かが観察しているのだろうか。 カウンセラーの先生が入ってきた。 僕とそれほど年のかわらない、若い先生。 20代前半くらい。 「さっそくですが、どういったところが気になられてこちらに来られたのでしょうか」 「前頭部がちょっと気になって……」 実際、僕の祖父も父親も、額が年を追うごとに発達しており、 僕もおそらく同じ運命なのだと昔から覚悟している。そのことを話す。 「なるほど。頭髪は遺伝的要素も大きいですからね。 将来的に額が広がる可能性は高いですね」 と不安を増加させるようなコメントを言われる。 「毛根の写真をとってみましょうか」 カウンセラーのお兄さんは胃カメラのような機械を僕の頭に当てる。 テレビ画面には、千倍くらいに拡大された僕の毛根が。 「うわぁ、ひどい状態ですね」 ふたたび僕の不安を煽るようなセリフ。 「毛穴に相当の油が溜まっていますよ」 お兄さんは数枚の写真を撮り、テレビ画面上で同時に表示させる。 「これが前頭部の写真、こちらが後頭部。こっちは頭頂部の写真です。 どうです、前頭部は圧倒的に毛が少ないでしょう」 たしかに。こんなに違うものか?、っていうくらい、髪の量が違ってる。 撮り方の違いじゃないのか? とも思った。 「頭頂もかなり減ってきてますね。写真撮ってみましょう」 頭を下げて、ポロライドカメラで写真を撮ってもらう。 「つむじが普通の倍くらいあるでしょ。 このまま放っておくと、どんどん大きくなりますよ」 まるで寄生虫か何かのように言う。 「頭皮の体温も測ってみましょうか。」 体温計のような機械を頭に当てると、頭皮の温度が表示される。 「前頭部の温度が低くなってますよね。 毛根に油が溜まって、血が流れなくなっているんです。 毛に栄養が行かないから、細くなって抜けてしまうんです」 なんとも科学的。 「今すぐケアを始めないと、10年後には毛髪力が半分になってしまいますよ」 髪の毛の量が半分になるのではなく、毛髪力が半分になるところがポイントか。 嘘は言っていないみたい。 「あと1年早く来てくださっていたら、完全な状態を維持できたんですがねぇ。 でも、今すぐケアを受け始めたら、90%までは維持できると思います」 これも、毛髪力を90%まで維持するという意味だろう。 カウンセリングがそろそろ終わりそうになったので、肝心の値段を聞いてみる。 「あの、こちらでケアを受けるとしたら、予算的にどのくらいかかるのでしょうか……」 「様々なコースがありますが、お客さまの場合は相当に進行が著しいですから、 年間40万円のコースが適当かと」 月々3万円。学生にはちょっと無理でしょう。 僕の顔色をうかがいながら、お兄さんは言う。 「40万円は無理ですよね」 「ちょっと、親と相談してみます」 嘘くさい言い訳。親の仕送りで毛髪ケアする学生っていったい。 かなり気まずい雰囲気になる。 それならば、という感じで、お兄さんは商品カタログを取り出した。 「わが社では、脱毛を防ぐシャンプーも扱っています。 コースが無理であれば、自宅でシャンプーを使われることをお勧めします」 「いくらですか」 「お客さまの場合、6000円のシャンプーが適当かと」 「高いですね」 「特殊な成分が配合されておりますので」 これはかなり粘られたが、 「でも、こちらでケアを受ける場合は、シャンプーは必要ないですよね。 まだ受けないと決まったわけではないんで……」 と頑固に言い張って断った。 お兄さんはとてもがっかりした様子だった。 彼の営業成績を下げてしまった。申し訳無い。 自分の毛根と頭頂が写された写真、どうしても持って帰りたかったのだけど、 「プライバシーの問題がありますから」 と言われて断られてしまった。 自分の頭を見るのに、なぜプライバシーの問題があるのか納得できないけれど、 議論しても無駄だと思ったのでやめた。 以上の話をある友人にしたところ、「俺も行ったことあるぜ」とのこと。 僕らの間で、ヘアチェックはちょっとしたブームになっている。 将来のことが気になる人は、さっそく行ってみよう。 その他の体験一覧 トップページに戻る |