分割

ある朝の出来事。

すごく良い夢を見ていた。本当に幸せで、心が満たされた夢。

だが悲しいかな、目覚ましのベルの音で僕は起こされてしまった。

「続きを見たい!」

そう思った僕は、目覚ましの電源を切って、ふたたび眠りについた。
二度寝である。午前中は特に予定がないので、問題なし。

けれど、寝る時点である程度予想はしていた。
これまでの経験から言って、僕は目を覚ます直前の夢しか憶えていない。

案の定、昼頃に目を覚ました時、夢の続きを見たという記憶はなかった。

おそらく夢の続きは見れたのではないかと思う。
現時点の僕がそれを憶えていないだけで。

眠っている僕は非常に幸せだったのだろう。
だが、二度寝したという行為は「現時点の僕」のためにはなっていない。
特に睡眠が足りなかったわけでもないのに
土曜日の午前という貴重な時間を布団の中で過ごしてしまった。

僕のためであったようでいて、僕のためでなかった気もする。

あの瞬間、僕はふたりの人間に分かれてしまったのだろうか。

℃ Taro Tezuka (2002.3.3)
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